2015年、異業種へ参入し、クリニック併設サービス付き高齢者向け住宅フラワーホームを開設しました。ありがたいことに皆様のご協力のおかげで現在では満室に近い状態を維持できています。
その2015年に書いたブログ「第二の創業>>」で「変化の多いこのタイミングを最高の機会と捉えて、社内の制度や経営システムの精査も含め、なおざりになっている事項を思い切って全て見直して行くつもりである」と書きました。
そこから8年。昨年は繊維再生事業部を立ち上げ、フェルト事業部を統廃合しました。
「第三の創業」と言っても良いほど変化の一年で、一年をかけてさまざまな準備をしてきました。(くわしくは「再スタートの春>>」を参照)
そして現在、鋭意進めているのが経費削減です。
前述しましたように、なおざりになっている事項を今回もまた、聖域を作らず思い切って細かなものまで全て見直して行きます。
【営業利益5兆円のトヨタの経費削減】
トヨタ生産方式の根本は、仕事や原材料の使い方に「ムダ」がないかを徹底的に考え、終わりなく改善していくことにあるそうです。
ムダの排除には限界がなく、一つの改善を行った状態は、次の改善を行う上でのスタートラインだという意味で、「改善後は、改善前」という言葉が使われているらしい。
トヨタは毎年、年間3000億円の原価低減を目標に掲げ、その意識は現場の一人一人にまで根付いており、記者が取材をした工場の従業員は「車1台あたり、0.3円の改善に成功しました」と胸を張ったそうです。
記者は、あまりの単位の小ささに、聞き間違えではないかと感じたとのこと。
話を聞いてみると、工程の1つである、紙を貼る向きを反対にすることで使用するテープの量を16センチから14センチへと減らし、1台あたり0.3円の原価低減につながったという。
また別の従業員は、塗装で使用する液体を最後の最後まで使い切ることで、1台あたり0.02円の削減を行ったとのこと。
マヨネーズの容器と同じように、最後まで使い切るのが難しかったのだが、自作の装置を制作して最後の1滴まで絞り出すことに成功したとのことでした。
工場には“今、製造部に求められることは、『開発の原資を稼ぐこと』”の貼り紙が貼られているそう。
従業員一人ひとりが知恵を絞り、こうした小さな改善を積み重ねることで、毎年、年間3000億円近い原価低減を実現しているそうです。
この記事を読んだ時には、現場から一つ一つを積み上げていくトヨタの企業文化に感嘆しました。
(関連記事:便座も積もれば山となる>>)
【1万円の経費削減で29万4千円の売上と同じ効果】
経営者の読者の方には今更な話かと思いますが、社員に向けて経費についての考え方を改めて書きたいと思います。
まず製造業の平均的な営業利益率は3.4%ですから、それで計算してみます。
仮に1億円の売上高の場合、営業利益は340万円です。更に、ここから税金や利息その他費用も引かれるため、純利益となるとさらに少なくなります。
「売上」は多くの従業員が意識する数字でしょうが、「利益」を意識する社員はそう多くないはずですので、1億円を稼いでも残るのは、そんなに少ないのか・・・とガックリするかと思います。
1億円の売上高で営業利益は、たった340万円。
しかし経費の数字はそのままなのです。1万円削減できれば1万円の利益が出たのと同じ。
営業利益率3.4%で計算すると、1万円の利益は約29万4千円の売上を上げたこととイコールになります。
1万円の経費削減で29万4千円の売上と同じ効果。
経費を意識したことが無かった人は、経費削減の効果に驚いたのではないですか?
【当社の経費削減の取組み】
当社では今期1000万円の経費削減を達成することを目標としています。
前述したように、製造業の平均的な営業利益率の3.4%で計算した場合1000万円の削減が達成すると約2億9千400万円の売上高を上げたのと同じ効果があります。
既に倉庫の統廃合、車両関連の見直し等で約500万円が達成可能になっています。
固定費は売上の増減に関係なく継続的に毎月発生する費用ですから、削減できれば大きな効果が期待できます。現在、見積書を取りながら一件一件全て見直し中です。
また消耗品や備品についても購入のルールを厳格化し、各事業部の管理者を改めて決めました。
ムダを減らして生産を効率化するために、通常年2回の大掃除に加えて、今月も大掃除を実施し、整理整頓を進めました。
マイクロマネジメントになってしまいますが、経費削減の精神が浸透するまでは、全ての稟議書の決裁を私が行います。
目標達成のためには、各事業部における無駄の削減、効率化の推進、そして何よりも一人ひとりの意識改革が必要不可欠です。
日々の業務において、どのような小さなことでも経費削減に繋がるアイデアを積極的に提案していただきたいと思います。また、無駄な経費が発生していないか、常に目を光らせ、改善に努めていただきたいと願っております。
削減できた経費の相応分を社員の賃上げにも結び付けたいと思います。
今後、原材料コストの上昇や、物価上昇率、賃金上昇率も高まることが予想されています。
どのような未来にも、しっかりと対応することが出来る盤石な企業体質を、社員たちの協力を得ながら構築していく覚悟です。