【ここ5年で2度の台風被害。それ以前は0回。これは偶然?気候変動?】
9月半ばを過ぎましても厳しい残暑が続いていますね。今年の夏は過去126年で最も暑い夏だったそうです。
誰かと会話するたびに、「近年の夏は、あまりに暑いから、日本でもサマータイムやシエスタを導入した方が良いんじゃないだろうか?」と、半分冗談、半分本気で言い合うぐらい、とても暑い夏でした。
8月中旬には台風が、当社のある泉南市に直撃の予報ということで身構えました。
5年前の台風21号のときには、倉庫2棟が全壊及び工場各所の屋根が吹き飛ばされるなど大きな被害が発生しました。
暴風に弱い箇所は、5年前の台風で飛んで行ったり壊れたりして修理をしていたので、今回は大丈夫なはずと思ってはいるものの、前回の記憶はまだ生々しく、直撃の予報となると不安な気持ちになりました。本社はお盆の連休中だったのですが、社員も数名出勤してくれ、台風対策に尽力してくれました。
シニア事業部のサ高住では停電の備えとして非常用自家発電機の設置に加え、予備の自家発電機を3台備えており、非常食や水、非常用トイレなどは万全ですが、夏場の停電は熱中症が心配だということで、ハンディファンを人数分と、氷枕、冷凍庫を急遽購入し凍らせたペットボトル(飲用したり、体に当てて冷やしたり)を備蓄品に追加しました。
ええい!やれるだけのことはやった、後は万事を尽くして天命を待つのみ!の精神で台風当日を迎えました。
台風の右側に泉南市が入ってしまいましたが、暴風雨は心配していたほどではなく、これならほとんど被害は無いだろうと安堵したものの、台風通過後に調べてみると、21号の時よりかは遥かにマシですが、細かな被害が15か所以上に発生しており、約300万円規模の被害が発生しました。
長年ここ泉南市で事業を営んでいますが、近年まで自然災害の被害に遭ったことはほとんどありませんでした。しかし、この5年で2回も被害に遭ってしまったのは偶然なのでしょうか?それとも気候変動によるものなのでしょうか?
【大きく変化している地球環境があります。何だと思いますか?】
気候変動に関しては「変化している」「してない」など様々な意見があるので現時点では答が出ませんが、昔と今とでは大変大きく変化している地球環境があります。
何だと思いますか?
それは地球の人口です。私が小学生の時に習った地球の人口は確か30億人台でした。それが今や80億人です。私が生きて来た約60年間の間に約2.7倍に増加しています。
日本では人口減が社会問題になっていますが、外側に目を向けると人口爆発が世界の課題になっています。
あと15年ほどで90億人、あと35年後の2058年頃に100億人に到達すると国連が予測しています。
【今後、資源が枯渇して行く社会から求められる商品は、リサイクル製品】
人口爆発により世界全体の資源や食料や水が不足し、奪い合いになると言われています。
そのような地球環境ですから、すでに時代遅れの感がありますが「大量消費、大量生産」の時代ではなくなっていきます。
繊維に焦点を当てますと、合成繊維の製造には化石燃料や大量の水が必要で、その分CO2も増えます。
人口爆発により資源が枯渇して行く社会では、資源を大切にするリサイクルが、ますます重要視されていくのは当然の成り行きだと思います。
【どんな繊維でも再生できる世界初の最新設備を導入】
「令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性革命推進事業」の補助金の助成を受け、世界初の繊維再生の最新設備を導入しました。
化学繊維や天然繊維、混紡繊維など、どんな種類や形状の繊維でも、この機械に入れると、細かく分解されてリサイクルされた反毛原綿として生まれ変わります。
この再生過程では、水や化学薬品をほとんど使わず、エネルギー消費も半分以下に低減されます。また、反毛原綿を製造する5つの工程それぞれに発生していた大量の繊維クズの量も激減します。
従来品と比べて反毛綿が倍以上の細かさになっており、新品と見間違うほどの高品質です。
当社は現在、この新しい再生技術(リサイクルプロセス)によって製造された繊維を「もったいない繊維」という商標で出願中です。
【リサイクルの課題:「工程が多く、その分コストとエネルギーが必要」を解決】
リサイクルには、いくつか課題があります。
まず工程の多さです。バージン素材製品の製造工程よりもリサイクルする分だけ余計に工程が増えます。(通常、6工程ほど増えます)
工程が増えた分、人件費をはじめとしたコストが増えますし、6工程に必要な機械5台を動かすエネルギーが必要で、その分CO2が排出されます。
しかし当社の新しい設備では、これまで機械5台6名が必要であった工程が、機械1台2名で可能になりました。
将来的な人手不足にも対応できます。
【リサイクルの課題:「バージン素材製品に比べ、耐用年数が短い」を解決】
バージン素材から作られた既存の製品と同じ作り方をすると、どうしてもリサイクル繊維は強度が落ちてしまうので、耐用年数が短くなるという問題が有ります。
短期間の間に何度も買い替えなければならないのなら、それはエコとは言えません。
社会から必要とされている製品は、たとえリサイクルされたエコ製品であっても、バージン素材製品と同レベルの耐用年数を持った寿命が長い製品だと思います。
そこで当社のサスティブブランケット(リサイクル繊維で製造された毛布)においては、縦糸と横糸の番手をそれぞれ変更することで、そしてサスティブフェルト(港湾土木用バンカーマット)では製造工程を変更することで(特許出願済み)、バージン製品と同等の強度を持ち、耐用年数の長い製品を製造しています。
【広まりつつある環境経営 当社への依頼】
環境経営とは、環境問題に取り組み、社会的責任を果たしながら、自社の企業価値も高めていく経営のことです。
SDGsの環境問題に対する取り組みの1つとして、自社で使う製品を購入する際に、地球環境に配慮した製品を選択される企業が増えてきたと感じます。
バージン製品ではなく、多少割高になっても、そのコスト増を環境に対する付加価値だと捉えてリサイクル製品の方の毛布を選択されるお取引先が増えています。
また近頃、当社への依頼で増加しているのが、毛布(災害備蓄用毛布、リネンサプライ毛布)、企業の制服・ユニフォーム(大手飲食店や量販店など)のリサイクルで、古くなった毛布や制服をリサイクルで反毛原綿にして、そこから糸へ、そして再びその糸を使って毛布や制服を製造するリサイクル。他には、大手ガス会社の通電しない軍手を、同じように糸にして再生するというリサイクルなどです。他にはシートベルトやタイヤコードを反毛原綿にすることも可能です。
近年、企業は「自社のSDGsの取り組み」をHPなどで掲示しています。
不要になった毛布やユニフォームや手袋をゴミにせず、リサイクルすることで、環境問題に真剣に取り組んでいる企業だとエンドユーザーに示すことが出来ます。
【最後に】
欧州では2030年までにEU域内で販売される繊維製品を、「耐久性があり、リサイクル可能で、リサイクル済み繊維を大幅に使用し、危険な物質を含まず、労働者の権利などの社会権や環境に配慮したものにする」との目標を掲げているそうです。
本当に微力ではありますが、当社が現在取り組んでいることの全てが、上記の文言に含まれています。
諦めず、一人一人が環境問題に意識を向け行動すれば、地球環境の未来は「良い方向へ変わって行くはずと私は信じています。