工場のトイレ掃除をやり過ぎて血豆が出来ました

20年以上前から、本社事務所の玄関とトイレの掃除は私の担当です。

玄関とトイレは風水上、とても重要な場所です。

玄関は会社の顔ですし、トイレは会社の真の姿が最も出る場所だと思います。けれども皆が最も掃除したくない場所でもあります。

皆がやりたくない事を先頭に立ち、やって見せるのが中小企業の経営者だと私は考えていますので、そんなわけで長年に渡り本社事務所の玄関とトイレ掃除の担当をしています。

 

今回、事務所のトイレの他に、工場のトイレ(男女2か所)の徹底的な掃除をやろう!と決めました。

普段は、工場のトイレまで私が進出して行って掃除をすると皆が気疲れしてしまうので、任せています。

8年前に改装したので、それ以来の私の出番です。

皆、毎日掃除をしてくれていますが、就業時間内の限られた時間の中での掃除ということもあり、また経年の劣化もあり、便器も壁も全体的になんとなく薄汚れた印象です。

徹底的に完璧に綺麗にするには数時間の掃除ではムリと判断し、主に毎週土日の電話が少ない時間を見繕い、10月から12月まで約2か月間かけて私1人で、新築のトイレと同レベルまでピカピカに掃除しました。

便器の蓋はペーパーやすりをかけて塗り直し、ホーローは磨き、アルミサッシは外して塗り直し、トイレの外壁も内壁もペンキで塗り直しました。天井も塗り直しました。

落ちて来たペンキをかぶってしまい、髪についたペンキが取れず急遽散髪屋に行くはめになりました。

トイレの床のタイル掃除が最も大変で、漂白剤をかけて1日置き、その後に洗剤をかけてデッキブラシで擦ったのですが、なかなか長年の汚れが落ちず、力を込めて擦ったブラシの柄の端で手のひらに血豆が出来ました。

 

私がトイレ掃除をしていると、工場の従業員たちが代わる代わるやって来て、「社長、申し訳ない」と言うのです。

私は「皆はちゃんと掃除してくれてるよ。普通の掃除ではもう綺麗にならなくなったところをやってる」と答え、次のような話をしました。

「昔の映画館が廃れて行ったのはトイレが汚かったから。トイレを綺麗にすることによって映画館は息を吹きかえした。

お客さんに気持ち良くトイレを使ってもらうようになったら、映画館に人が来るようになった。

俺も同じ。職場のトイレが綺麗なら、働いてる人も気持ちが良い。

皆がこの会社を選んで働きに来てくれてることに、経営者として感謝してる。

皆、気を使うなよ。大企業じゃないから出来ることが限られてるけど、皆に少しでも気持ち良い環境で働いてもらいたいからやってるだけや」

そう伝えました。

その思いで、100枚近くあるガラスも私1人で、透明と間違ってぶつかってしまうほどピカピカに磨きました。鉄の扉は事業部長と2人で塗り直しました。

この2か月は時間を見つけると、ひたすら掃除をしていたので、塗っても塗っても色が付かないペンキの悪夢を見て寝汗を搔きました・・・本当です。

 

人は綺麗なところは掃除するのです。でも普通の掃除では落ちなくなった汚れは仕方ないものとして掃除しなくなります。そのうち誰かが何とかするだろう・・・と思って、どんどん落とすのが難しい汚れとなっていきます。ますます誰も手を付けなくなります。

もうそうなったらリセットするのは経営者しかないでしょう。

業者に頼んだら簡単に済みますが、中小企業はそこまで経費を掛けられませんし、皆の意識改革も狙っていたので、今回は私自身が徹底的に掃除しました。

汚れが一旦リセットされたので、工場の皆も今まで以上に熱心に掃除をしてくれているようです。「社長ひとりにさせられんよ」と言ってくれました。

 

大企業のように掃除専門の人を雇うことは出来ませんが、けれども当社は非管理職やパートの方たちだけが掃除するのではなく、管理職も社長も皆、全員が同じように掃除の順番が回ってきます。

ドブ掃除も長靴を履いて私もドブの中に入ります。

口先だけで「掃除しろ」と言われたら嫌だけど、社長がそれだけやってるんだから仕方ないわ!と皆も思ってくれていると感じます。

 

本年もたいへんお世話になり誠に有難うございました。心より深謝申し上げます。

このブログで本年最後のブログを〆させていただきます。 来る令和4年も皆様方のご多幸をお祈り申し上げると共に変わりませぬご厚情の程、お願い申し上げる次第であります。