新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、コロナワクチンの接種が進むものの未だに収束の目途も立ちかねている中、様々な困難や問題を抱えながらも、史上初の1年延期となった東京オリンピックが8月8日に無事閉幕しました。
まず、東京オリンピック開催に係わり、ご尽力されました全ての方に心より敬意を表します。
今大会、日本は過去最多のメダルラッシュでした。柔道も過去最多の金メダル9個、総メダル数12個という素晴らしい成績を収めました。
特に大野将平選手が成し遂げたオリンピック2連覇金メダル獲得の偉業は、天理柔道会のOBとして大変嬉しく、誇りであり、限りない称賛と敬意を大野選手に送りたいと思います。
優勝が決まった瞬間には、目頭が熱くなりました。観戦に力が入り過ぎたのか、翌日には全身筋肉痛になっていました。
大野将平選手の自分自身に厳しく礼儀正しい凛とした佇まい、正々堂々とした組手さばき、そして鍛え抜かれた肉体、まさにどれをとっても戦いぶりに「心・技・体」ともに研ぎ澄まされた「講道館柔道のサムライ」の姿を見ているようでした。
また試合運びも、私自身が現役だった時代の柔道である「絶対王者たる日本柔道」を彷彿とさせるような展開を、東京オリンピック日本武道館の畳の上で体現してくれたように思いました。
東京オリンピック前の2020年の、スポーツ総合雑誌Numberの記事ですが、大野選手優勝後にヤフーニュースで配信されていたこのインタビュー記事がとても素晴らしく、彼の精神性の高さを改めて知ることが出来る内容だったので、ここで紹介させてください。
■オリンピックは異常なんだ。勝つには、自分が異常になるしかない」大野将平が語っていた柔道と金メダルへの“覚悟”《2連覇達成》>>
楽しい柔道との決別、敗戦して「自分が異常になるしかない」と覚悟を決めたこと、運に左右されない“圧倒的な実力” を追求して行ったこと、その一方で「勝負には運があるけど、徳を積むことで心が落ち着くんだよ」と教えられゴミを拾うなど一日一善を人知れず積み重ねたこと、コップを大きくして“想定外を想定内にする”ことなどが綴られています。
リオから東京までの5年間、オリンピック金メダル2連覇の偉業を果たす為に彼はずっと苦しみの中に居たのではないか?と思うほど命がけで妥協の無い練習を重ね続け、しかしそうやって自分の肉体を極限まで追い込むことによって心の安寧を図っていたのだと思いました。
また記事の中にあるように一日一善の徳を積み重ねたことや、畳や対戦相手に敬意を持った行動や、終始礼節のある佇まい、もろもろの発言(インタビューの最初に開催への感謝)に至るまで、その精神性の高さには目を見張るところがあり、経営者として見習らわなければならないところが随所にありました。
大野選手の志の高さや、柔道家としての階段を更に登ったことを、今回のオリンピックで改めて感じました。
また団体戦の銀メダルは「日本柔道」にとってプラスになり、世界の「JUDO」にとってもプラスなると思いました。
というのは、柔道は嘉納治五郎先生の教えにありますように、生涯を通して一生が修行と言われるものですので、いつもいつも100点満点である必要はなく、逆に銀メダルだった悔しさが次のパリ大会に向かって日本柔道の更なる「精進のばね」になり、より高みへと驕ることなく進んでいけると考えます。
また金メダルのフランスは世界でも冠たる「JUDO」が盛んな国であり、東京オリンピックでの勝利や、3年後のパリ大会(自国開催)での2連覇の夢で、ますますJUDOの人気が高まり、その波及効果で世界でもJUDO人口が増えて行ってくれるのではないかと思います。人間万事塞翁が馬です。
日本で始まり、日本が世界に普及させた柔道です。
柔道は私に多くの事を教えてくれ、多くの大切な出会いを与えてくれ、人生を変えてくれました。(※人生のターニングポイント>>)
日本国内でも、今回の東京オリンピックでの日本選手の活躍を機に、金メダルに憧れて柔道を始める子供たちが増加して行ってくれればと願います。
※写真は、リオデジャネイロオリンピック金メダル後