【劇的に変化する社会】
私が経営を始めた頃は、インターネットを使っていたのは、ほんの一部の最先端な人達だけでした。仕事の仕方は今と全然違っていました。
1995年にWindows 95が登場し、私も購入しました。2010年代にスマートフォン時代が到来すると、本当に急速に社会が変化して行きました。
今やインターネットを中心とした社会になり、今まで存在しなかったビジネスが次々と登場し急成長しています。
また、「破壊的イノベーション」と呼ばれる、既存の市場を破壊し、業界構造を劇的に変化させるような新たな技術革新も起きています。
今回のコロナ禍も、短期間の間に社会の「当たり前」や経営環境を変化させました。私はその変化に対して柔軟に対応しようと、平時の何倍も思考し労力を費やして経営に取り組んでいます。
【良いと思う事はやってみる】
社会情勢・顧客満足・消費動向・商品開発・自社のポジショニング・売上げ・経営資源・従業員のこと・その他経営に係わるすべてについて、私は寝ても覚めても四六時中、経営についてばかり考えています。
そして思い付いた「良いと思うこと」は、結果を恐れず迅速に実行に移して来ました。勿論その中には愚策や過ちも多く、おおよその成功率は約3割に満たないくらいだと思います。
多種多様な施策を次々と投じるため「強引だ」とか「流行りもの好き」とかの声も聞こえて来ることもありますが、良いと思うことは失敗のリスクを取ってでもチャレンジしていこうと考えています。
時代は常に変化して行っています。そんな流動的な中で現状維持を続けるだけでは自然淘汰されてしまいます。
自分の現状を疑い、小さくても良いから変化を起こし続けることが大切だと考えています。
【真似も戦略のうち】
そんな中で最も、つまずきや失敗が多いのが新商品開発です。
経営環境の変化に合わせて、絶えず見直しながら商品開発を行っていますが、自分自身の能力の足りなさから解決の糸口を見いだすことも出来ず、徒労感だけが蓄積して行くような時も当然何回もありました。
経営資源に限りがある中小企業にとって新商品開発は難しいものですが、そんな時に思い出す言葉があります。
「真似した電器(松下電器)」です。
松下電器産業の創業者である松下幸之助さんは、「真似した電器」と言われるほど、先行する企業の技術を学んで真似をして自分のものにしてしまっていたそうです。
私が他社の成功している(売れている)商品やサービスを真似する時に大切にしていることはスピードです。
あれこれ悩んだり考え過ぎたりしてどんどん出遅れると、市場では不利なポジションになってしまいます。
売れている理由の分析は、この時点ではどうでもよくて後回しで良いと思います。上手く行っている商品は真似してでも取り急ぎ踏み出せば、その一歩から道は開けてきます。そして歩んでいくうちに自然にその分野や市場に精通して行くものです。
そうなって来てから、そこに自社の強みや個性を投入して、物真似から脱却した「新しい価値を持った商品」を生み出して市場にアピールしていけば良いと思います。
「真似ること」を、悪いことだと私は全く思いません。
先行者には先行者利益とリスクがあり、後発者にも同じく後発者利益とリスクがあるからです。それに世の中のほとんどの商品やサービスは、だれかの真似から始まっています。
しかしです。品質・価格・流通・アイディアなど何か1つでも先行企業以上の強みがないと市場で自社の地位は築けません。真似をして参入することは簡単じゃありません。大きな努力が必要です。