苦労と葛藤を一番したのは誰?

ここ20数年、低迷していた我が母校の奈良県天理高校柔道部が最近、復活の兆しを見せて栄光を取り戻しつつある。日本武道館にて毎年開催されている春の全国高等学校柔道選手権大会で、本年度は決勝戦まで進出し、結果は大将戦で国士舘高校に惜敗、準優勝ではあったが、春の高校柔道選手権史上に残るであろう名勝負を展開してくれたのである。

 

私は仕事の都合で日本武道館へ応援に駆け付ける事が出来なかったが、当日は「プチOB会」も兼ねて、会場に行けなかった地元泉州の近隣OBが私を含めて7名T先輩宅に集まった。テレビ放送を見ながら一喜一憂し、技の名前や蘊蓄を叫び合い、またテレビの中の選手たちが仕掛ける技に合わせて、私たちも着ている服が破れんばかりに同じ技をT先輩宅の居間で掛け合った。

テレビ放送が表彰式に差し掛かる頃には、オッサンOB一同は疲れ果て、ガソリンを補給するべく予約していた岸和田の小料理屋のお座敷に繰り出した。

遅くまで年甲斐もなく、若干の記憶も喪失しかけるほど飲んだが、さすがにここでは技は掛け合わなかった。(笑)

後輩たちが「天理柔道部復活」の兆しを見せてくれたおかげで、OB諸氏とも久しぶりに会えて、楽しく酒を酌み交わす事が出来た。

 

皆が集まると、会話はやはり学生時代の練習や寮生活の中での「苦労と葛藤」の想い出話となるのだが、そんな中でも今回は、「各学年で苦労と葛藤を一番した者は誰だろうか?」という話題に移行して行った。

私は即座に「選手・補欠メンバー入りせずに3年間を終えた生徒達」と答えた。すると集まっていた皆が言い方こそ違うが同じ趣旨のこと言い合った。

目標を全国優勝に置いている部であるから、言うまでもなく練習は大層厳しい。その練習を選手や補欠だけではなく、補欠入りしていない生徒も行う。

試合に出られるのはたった5人であるが、柔道というものは、この5人だけで練習をしていても強くなれない。

補欠入りを目指して大勢の部員が頑張れば、補欠はその座を奪われないようにそして選手入り出来るように更に努力する。選手も同じく補欠にその座を奪われないように一層努力する。

このように決して選手だけでは強くなれず、部全体の中での攻防から強くなっていくのである。言い換えれば選手の強さは補欠や補欠以外の者の強さも混在した上での強さである。

皆、一つでも上に登れるように頑張る。しかし次第に薄々と自分の実力が分かるようになり、3年生になる頃にはハッキリと自分の実力を知るだろう。

選手や補欠が頑張るのは当然として、補欠入り出来なかった部員たちが脱落せず選手と同じだけ頑張れるのは、一つでも上に登る!という向上心を最後まで持ち続けているからだろう。そして例え自分が試合に出られなくとも自分が所属する部や仲間が日本一になって欲しいと願う気持ちがあるからだろうと思う。

しかし、その心境に至るまでには苦労も葛藤も多かったはずである。不条理を感じることも多かったであろう。

けれども最後まで諦めず辛抱強く努力し続けた経験、自分の損得よりも全体の利益を優先した経験は、無自覚のうちにも人格形成に影響し、その後の人生にもプラスに作用するのではないだろうか。

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