前回のブログでは、丸竹の企業理念「三方良し」について記した。
しかし当初から企業理念があったわけではなく、少人数で会社をしていた頃は、三方良しと同じ種類の想いは漠然とあってもそれを言語化することはなく、経営理念と呼べるようなものは無かった。
毎日、社員皆が顔を合わせて、皆のその日の機嫌も、皆の長所も短所も腹の中も分かり合っていた頃は、企業理念などは必要無かったように思う。
しかし組織の人数が増えると、「この組織がどこに向かって行くのか」「この組織にとって一番大切なものは何か」という旗印を立てなければ、皆がバラバラの方向へ進んで行ってしまうような気がして、想いや目標を言語化し共通認識として社員全員が持っておく必要を感じた。
それが一番初めに企業理念を作成した時の想いである。
ところで私が青春を費やした講道館柔道の理念は「精力善用」「自他共栄」である。
説明を加えると「精力善用」とは「相手を打ち負かすことを目標に柔道をするのではなく、自己の完成の為に鍛錬し、そして柔道で鍛えたその心と体を、人や社会のために使おう」ということ。
「自他共栄」は「自分一人だけが栄えるのではなく、練習相手になってくれた人や、応援してくれた人、自分の周り、ひいては社会全体が栄えるということが社会生活の理想」ということ。
私なりに纏めると、
「今のあなたがあるのは、それは自分一人の力ではなく、周りの人たちの有形無形の力添えがあったお陰なのだから、自分の力を自分の利益の為だけに使うのではなく、自分も含めた社会や周りの人の利益の為に使いなさい」という事であると思う。
この言葉は、多くの柔道場の壁に掲げられている。
本音を書けば、柔道に打ち込んでいた当時は、そんな言葉など馬の耳に念仏で、「全国優勝」の張り紙の方に魅せられ心を燃やしていた。
しかし「門前の小僧習わぬ経を読む」と同じで(習っていたけど笑)、何度も見聞きしているうちに知らず知らず影響を受けるもので、特に経営をするようになってからは、「あぁこれは自他共栄だな」や「あぁこれは精力善用だ」などと思う事が幾度もあった。
「自他共栄」の「皆の繁栄、皆の利益、皆の良し」などは経営の基本にも通じるものであるし私の想いでもある。この想いを、何か別のもっと企業として相応しい言葉で表現したいと考え、たどり着いたのが、
近江商人の心得を言った「三方良し」である。
売り手良し・買い手良し・世間良しの三方良し
当社の言葉で言うなら、お客様の満足・従業員の幸せ・社会への貢献の「三方良し」。