地獄掃除のその上

以前、地獄掃除>>という題名で、私の掃除に対するこだわりを綴ったが、その地獄掃除を標榜する私が、「もう許してください!」と思わず言ってしまうほど凄まじい掃除を行われる、M社長という方が奈良県にいらっしゃる。

同じ高校の出身ということもあって、私が若い頃からお仕事をくださっている中小企業の社長で、公私とも大変お世話になっている大先輩である。

こんな事があった。

車にて所用で大阪より名古屋に行った帰り道、翌日の商談に必要な商品サンプルを届ける為にM社長の本社に午後7時ごろお伺いした。

すると、本社の窓という窓が玄関扉も含めて1枚も入っていないのである。

理由は全ての窓を午前中から外して、本社横の駐車場で水洗いし、乾かす為に外しているとのことだった。

私も掃除には、かなりの「こだわり」があり、今後の掃除方法の参考にしたいので早速、手伝わせていただくことにした。

さて見渡すと、窓だけでなく同時に、強固なボルトで留まった外側の面格子や網戸も外して、それらまで洗浄して乾かしてる。その上、窓枠の隅々まで爪楊枝でほじくり返えすように掃除してある。おまけにそれらを元に戻す際、すべてに汚れ止めのコーティング処理をして、仕上げ拭きを光り輝くまでするという。

そしてこれらを月毎に年12回繰り返しているらしい。

聞くとその時の終業時間は毎回、午前0時くらいになるらしい。

そして手伝わせていただいたその日も、全ての作業が終わったのは、午前0時を超えてからだった。

 

他にもM社長自らが先頭に立って、

毎月、便座を外しての大掃除、本社内の水回り配管、外側の排水溝の大掃除、廊下の端や壁紙の隙間まで「爪楊枝で掃除」、すべての家具の引き出しの中身の大掃除。

また年3回、定期的に、社内の物をすべて撤去しての床掃除とワックス掛けから始まり、内壁&外壁を磨き上げ、屋上までワックスを掛けて掃除するという。

これが毎日始業前1時間の掃除をしている上に行われるのである。

 

そう言えば、M社長の本社は建築後25年くらい経つが、新築時とほぼ変わらない状態を今も保っている。

さらにまさかのエピソードだが、ゴルフに行った時に、そこのロッカールームとトイレの掃除が気に入らず、その日はゴルフをせずに1日中、それらを掃除して帰ってきたことがあるらしい。

まだまだM社長の掃除ネタは枚挙にいとまがないが、これくらいで、その「凄まじさ!」を想像してもらえると思う。

M社長の会社と当社の掃除を比べると、「やり方」や「こだわり」については、さほど違いが無いが、「掃除の回数」と「かける時間」が違う。

M社長の会社は毎月大掃除があるが、当社は毎朝30分の掃除の他には、大掃除は年に3度と私が「掃除が行き届いていない!」と感じた時ぐらいである。

しかしM社長と同じことを出来ないとは感じない。

「うちの会社では、そんなことムリだな」と諦めてしまうのではなく、工夫して少ない大掃除の回数でも綺麗に保てるようにしたり、短時間で効率よく掃除が出来る方法を考えたりなど、「形を変えた最善」でM社長の会社の清潔さに迫ることは出来ると思うのだ。

何事もそうである。

出来ない・・・と最初から決めつけて諦めてしまう前に、少しでも目標に近づけるように工夫することが大事である。