とつぜん繁盛店が閉店

本社の近所にあり、よく利用していた中華料理店が、突如閉店した。

約30年近く続いてきたお店で、常に繁盛していたお店である。

市内の官庁街の近くにあり、立地もすごく良いところにある。

現在進行形で繁盛しているお店の突然の閉店であった。

 

閉店の5日前、たまたま昼食を食べに中華料理店を訪れた時に、そのお店の接客係を担当していた番頭格の店員さんから突然聞かされた。

店員さんいわく、「私も経営者から閉店の知らせを突然聞いたし、閉店の理由も分からない。」「今後、どうするのかも分からない」とのことであった。

 

経営者が突如として繁盛店を閉めた気持ちを、私は瞬間的に理解できるような気がした。

閉店を決める引き金になった具体的な理由(病気・体力の限界・転居etc)は分からないが、それだけが理由ではなく、複合的な理由であることは想像がつく。

その複合的な理由の中には、長い年月をかけて澱のように蓄積された経営者としての苦悩から来る疲れがあったのは間違いないだろう。

 

経営者であれば誰しも当たり前の話ではあるが、たとえ繁盛していても常に不安に苛まれて、苦しく様々な葛藤を抱えているものである。

順調であればあるほど、手抜かりがないか?落とし穴はないか?と、暗雲が立ち込めるように不安が追いかけてくるものである。

眠る直前まで仕事のことを考え、夜中にふと目覚めて一番に脳裏に浮かぶのは仕事のことである。

経営を長年維持して行くには、そのために多大な努力を強いられることになる。

前にもこのブログの「仕事は楽しい51% 仕事は苦しい49%>>」で書いたが、自分自身が背負う「責任」を考えると私自身も常に苦しくなる。

しかし経営者として生きるからには、常に責任の重さを感じ、それに苦しみながら生きて行くしかないのである。

しかしその苦しみの上に、他の問題がいくつも複合的に重なり合うと、自分自身の限界を超えて疲れ果ててしまい、閉店・廃業を決めてしまうのであろう。

 

突然の繁盛店閉店の話が広まるにつれて、地元のみんなは不思議がったり残念がったりしていた。

しかし同じく経営者である私は、この店の経営者の苦悩を想像し、共感し、そして少し考えさせられた。

 

自分自身に置き換えて考察すると、もし将来、私が経営から急に退くことがあるとすれば、引き金を引く理由は、心理的な事ではなく、体力的な事が原因であろうと思う。

社員の数が増えても、中小企業であるが故、自分自身が最前線で先頭を切って全事業部を統括しながらカジ取りすることになり、毎日が長時間労働である。純粋な意味での年間の休日は10日も有れば良い方である。

こんな生活を体力が衰えた以降も続けるのは難しいであろう。

よって、現在、「100年以上続く企業」を目指して、後継者の育成に心血を注いでいる。

私自身の健康面についても、健康であることも経営者の責任だと考え、細心の注意を払うように心がけている。(詳しく>>

 

最後になりましたが、某中華料理店さん

長年に渡り美味しい中華料理を味わわせて頂き有難うございました。深謝