第3次安倍改造内閣の目玉政策として掲げられた「1億総活躍社会」。
少子高齢化の流れに歯止めをかけ、誰もが活躍できる1億総活躍社会の実現を目指そうというこの政策と新三本の矢。
具体的な内容に関しては、それぞれ賛否があるだろうが、とにかく今すぐ何らかの策を実行しなければ、巷でも言われているとおり50年後の日本は無いと思うのである。
批判や検証や議論ばかりしている暇は、もうないのである。
主導するのは、もちろん国民の代表である政治家や官僚の方々であるが、官に一方的に頼るばかりではなく、我々国民や民間企業レベルでも、義務とは言わないまでも例え微力であっても「50年後の日本の為」に、なにか出来ることがあるのではないだろうか?
民間も国の政治の方向性に合わせて協力しなければ、日本が元気を取り戻す日など来ないと思うのである。
安倍総理の言葉の中にもあるように「みんながもう一歩前に出ることができるような日本に変えていかなければならない。」と私も強く感じた。
たとえば少し可笑しいかもしれないが、「たった一つのゴミでも、国民の一人一人が1つずつ拾えば、総数は1億2千万個拾えて、国が少し綺麗になる」のである。
政治家と国の方向性を選挙で選んでいるのは我々国民なのである。このことからしても、共に考えて共に行動に移すべきであろう。
ところで当社は、現在、テキスタイル製品の製造及びクリーニング関連と土木資材製造関連の2つの製造業をメインに、その他数種の事業を展開している。
そして新たな3つ目のメイン事業として、「将来の経営資産構築」と「約60年間に渡り当社の成長を支えて下さっている地元地域への貢献」を目的としてシニア事業部を開設し、高齢者様に安心して豊かな毎日を送って頂ける施設をコンセプトに、サービス付き高齢者向け住宅「フラワーホーム」を開設し、昨年11月5日からスタートを切った。
訪問看護や訪問介護のサービスもプレビュースタート(施設内)し、また本年2月には「フラワークリニック」を開設予定である。そして3月には施設外へ訪問サービス全般もスタートさせ、その先には介護タクシーやリハビリステーションも計画している。
話が逸れたが、「一億総活躍社会へ」という命題の下、当社に出来ることは?と考え、出た答えが2025年問題に象徴されるように超高齢者社会到来に起因する「高齢者の雇用問題」「労働力不足の問題」についてアクションを起こすことであった。
これが日本初の新しいサ高住のかたちに繋がるのだが、先にキャッチフレーズを紹介したい。
フラワーホームで暮らしながら、元気な日はアルバイトしませんか!
社会の為に再活躍
*施設及び関連工場にて軽作業アルバイト制度有り
あくまでも希望される方のみで、それも無理のない範囲で元気な日限定であるが、週2回程度で2時間ほど、サ高住の入居者の方たちを短時間アルバイトとして雇用する事業展開を始めた。
例えば散歩代わりのポスティングや、その他にも、1日3度提供させて頂いている食事の配膳補助、ホーム各所の掃除全般の補助、植物の手入れ全般の補助、ホームだけには留まらず本社や工場の掃除全般の補助、各製造部門の工場では災害用毛布の真空パック袋への毛布の挿入や梱包の補助、クリーニング製品の折り畳みや梱包の補助、土木資材の完成品のラベル貼りの補助もあり、他にもお願いしたいアルバイトは多数ある。
ポスティング以外は全て「補助業務」である。
当社は約20年前より、大阪府立砂川厚生福祉センターさまから障害のある方たちの雇用実績があり、現在も製造部門では障害のある方たちが多く働いてくれており、重度障害者多数雇用事業所の認定を受けている。
そのノウハウがあるため、高齢者の方たちにも安心して作業して頂ける内容の補助業務である。
この事業展開は、「高齢者の雇用問題」や「労働力不足の問題」へのアクションであると先に述べたが、実は別の思いもある。
フラワーホームのプロモーションビデオの中でも述べた言葉であるが
「高齢者様に、安心して豊かな毎日を送っていただきたい。そのためには尊厳を守り、自分らしく余生に希望を持って笑顔で過ごせる環境づくりが大切です。心はいつまでも若く、そしてたった一度しかない人生を豊かに味わい尽くす。その思いを胸に地域に根差した施設を目指します。」という当施設のコンセプトに通ずるのである。
以前にも書いたことだが(詳しく>>)
人間というのは、誰かの役に立ち、誰かに必要とされて、初めて自分の居場所を得たと感じ満足出来るものではないだろうか?
また「はたらく」とは個人が出来る社会貢献の総称ではないだろうか?
社会のために再活躍してもらうことで、おこがましいかもしれないが、入居者の方たちに生きがいのようなものを持って頂けるのではないだろうか?と考えたのである。
それに自分の力で金銭を稼ぐことが出来るというのは、自信になるのではないだろうか?
フラワーホームを開設してまだ期間はさほど経っておらず、入居者の方は未だ10数名ではあるが、個々の皆さんとお話をさせて頂いて健康状態をお聞きしても、すこぶるお元気な方がほとんどである。
入居者の中に、長年に渡り機械設備の製造業でお仕事をされて来られたNさんという80代の男性がおられる。
矍鑠(かくしゃく)とした方で、心安く話しかけて下さる方なので、その方にまず今回の事業展開についてお話をしてみると
「こんな歳でも社会に必要とされ働けるところが有り、社会で役立つのなら体の調子の良い日は働いてみたい」との言葉が返ってきた。
毎日2~3時間お散歩に出かけるとのことだったので、早速ポスティングのアルバイトをして頂いている。
すると早速効果はあり、Nさんがチラシを渡してくれたところから、数日を置かずして問い合わせが有った。またその翌日には、成約には至らなかったが、Nさん効果で見学者があった。
それからこんな事があった。
フラワーホームに行くと、そのNさんが私を見つけるなり
「仕事をしたお蔭で、なんだか元気が出てきた。社長さんにお礼を言いたい!社長さんはどの方ですか?」と冗談めかして声を掛けてきてくれた。
「社長はこの方です!」
と自分で自分を指さしながら言うと大爆笑になり、互いに顔を見合いながら肩を叩きあった!!
Nさんの顔が生き生きとしていた。
私はこの時、たまらなく嬉しかった。Nさんもすごく喜んでくれた。
元気な日はアルバイト
もしもの時にも、医療・看護・介護が連携した安心のサポート体制
この事業展開は日本で初めての取り組みであり、これから先、試行錯誤もするだろうが、当社の企業理念にもあるように「社会的存在価値のある企業になろう!社会から必要とされ歓迎される企業になろう!」という思いを新たにすると共に、私や当社の社員・スタッフたちが精進を重ね、この新展開を成功させることで、「三方良し」の根幹に少しでも近づけると確信した次第である。