ビジョンの確立

以前「3年先の利益」と言う題でブログを書いた。

今回はもう少し掘り下げて、「事業部ごとのビジョンの確立」について書きたい。

 

当社の場合は、テキスタイル事業部、フェルト事業部、フレスコ事業部、リラクゼーション事業部、シニア事業部の5つの事業部がある。

それぞれの事業部が各業界の中のどのランクに居るのか、消費者動向やニーズ、競合の情報を集めて精査のうえ、自社の事業部を分析しポジションを知る必要がある。

自社事業部のポジションによって、例えばこれからシェアの拡大を目指すのか、それとも差別化を図るのか、もしくは低コスト化を図り業界に存続して行くことを目標とするのか、あるいは業界の中の特定の狭い分野にだけ狙いを定め集中を図るのかなど、「どこへ行こう」としているのか営業戦略を立てて、「相応しい目的地」を決定していかなければならない。

またその次には「目的地までの道順と方法」の策定である。これもまた具体的に目に見える形としてしっかりと決めるべきであろう。

また共に同じ目的地を目指すメンバーと意識を1つにして力を結集させるためにも「すべての情報の共有化」が必要となってくる。

もしも目的地までの道順と方法がしっかりと共有化されておらず認識に相違が有ったとしたら、企業としてベクトルが分散化されてしまう。

そうなると目的地に到着するのは難しくなる。

ベクトルを1つにするために当社の場合は、具体的な方策に特化したレポートを、まず各事業部長から私に提出してもらい、それを基に事業部門別会議を重ねた後に、全体会議でさらに発表してもらい、そこでみんなの意見を集約し、改めて文書で中・長期ビジョンである事業計画の指針として配布することにしている。

また中・長期ビジョンである事業計画が進み出しても、絶えず「計画に対して進捗状況はどうであるか?」「今現在の経営環境と計画がマッチしているか?」等のチェックが計画の可否を左右するカギとなる。

 

今日の繁栄は明日の会社の繁栄を決して約束してくれるものではない。

私が若い時に、業界の先輩である故 小島清明氏(小島産業㈱元会長)から、

「貧しい会社は昨日の為に今日働き、繁盛している会社は明日の為に今日働く」

と教わったことがある。

この言葉(特に後半のくだりにおいて)から思うことは、ただ利益を出すだけでは企業に未来は無く、明日の繁栄の為に色々な費用(研究開発、人材教育、設備投資、販売促進等)を計上した上に、それらをまた適正に使った上で利益を生み出すことが、企業が生き残って行く道なのであろうと思う。

 

経営者そして各事業部のリーダー達が会社の未来を創造し、そして目に浮かんでいる会社の未来を、その他の社員やスタッフたち皆に可視化して示し、社内の皆が同じ景色を思い浮かべて同じ目的地を目指す、それが組織のあるべき姿なのだろう。

言葉にすれば数行のことだが、しかしなかなか難しいことである。