先月、私の出身校である天理高校のプチ同窓会があった。
柔道部だけの集まりならば年に数回はあるのだが、今回はラグビー部も合同でということで、卒業後に初めて再開する同級生も多数いた。
20名ほどの小さな集まりではあったが、懐かしさが込み上げ、学生時代の昔話や近況報告に大輪の花が咲いた。
私の記憶の中の皆の顔は、ニキビ面、脂顔、赤ら顔の「青年の顔」だったが、
35年ぶりに会った皆は、しっかり「オッサンの顔」になっており、めいめいに味のある皺が刻まれていた。
各々の人生の道のりを語り合えば合うほど、その皺の1本1本が、卒業後に皆がそれぞれに活路を探し求めながら、多くのものを背負いながら、真剣に人生を歩んで来た証であるように思えた。
自分が経験しなかった道も、同窓だからこその飾らないアリのままの話を聞けて、教わることや考えさせられることも多かった。
物故者への黙とうから始まった会であったが、幹事の「乾杯!!」の掛け声と同時に参加者全員が18歳に舞い戻り、まるで高校の休み時間のような雰囲気となった。
大人になってから付き合い始めた者同士では絶対に使用できないような当時の酷い「あだ名」が飛びかい、また失礼な言い回しの連発であり、言いたい放題であり、「究極の無礼講」という表現がぴったりの状態へと突き進んで行った。
しかし一人として怒り出すような洒落っ気の無い者は無く、誰からともなく
「傍目から見たら、疑問に思うくらいの仲の良いオッサンたちの集まりだろうな!」と言い出す始末であった。
しかし年齢とは残酷なものである。
自然の摂理で、一次会の2時間を過ぎるころには、53歳の男たちの体力とテンションには陰りが見え始め、2次会からは酒がお茶に変わり、爆発したような大騒ぎも消え失せ大人しくなり、2次会はカラオケボックスに行ったが、誰ひとりとして一曲も歌わなかった。
そして近くに座った者同士で、3歩進んで2歩下がる状態の四方山話となった。(笑)
その時、誰かが皆に向かって
「学生時代に戻りたい人いる~?!」と声を上げた。
もちろん・・・
「絶対に戻りたくなぁい~!!!」
見事に全員が声を揃えた。(大笑)
しかしこの皆の「絶対に戻りたくなぁい~!!!」という答えには、自分自身の学生時代を否定する意味合いは皆無といってよい。
「クラブの練習より辛い仕事は未だかつてしたことはない」とか、「試合のプレッシャーに比べれば仕事のプレッシャーは軽いものだ」と皆が本気とも冗談ともつかない調子で言い合っていたが、その言葉通り、厳しさや苦しさの凝縮と言って過言ではなかったクラブ活動をやり遂げたことが自負と自信になり、それがあるからこそ今現在の自分があると皆が感じているのである。
そしてその環境を与えてくれた母校に感謝する気持ちを皆が持っている。
「絶対に戻りたくなぁい~!!!」は、卒業後、皆それぞれに信念を持ちながら歩んで来たこれまでの道のりと今現在の自分自身を最大限に肯定する言葉なのである。
この後、体力がまだ少しながら残っていた者が数名(笑)、老体に鞭を打ちながら3次会に「赤ちょうちん」へと向かった。
そこでの話題も、もっぱら学生時代の話であったが、最後は「健康」についての話で締めくくられた。
*この度の会を発起し、お世話頂いた幹事の皆様に深謝申し上げます。ありがとうございました。