若者たちのチャンスの時代

とある新聞にあった社員の意識調査アンケートの結果を見てみると、

「定時に退社したい」、「責任を負いたくないから昇進はしたくない」、「給料は生活できる範囲でよくて多くなくていい」、「仕事上で車の運転はしたくない」、「休みは出来るだけ多くほしい」、「家族と過ごす時間が少なくなるので残業や休日出勤はしたくない」等の意見が上位を占めていた。

 

出世意欲が標準装備されていた世代の私の頭では、昇進したくない人がいるなんて考えもつかない驚きであった。とはいえ、休みが多く欲しい、残業したくないという気持ちは、自分も通って来た道だから分かる。

しかし、やはり仕事に対する価値観が大きく変化して来ているのを感じる。

その変化を「最近の若者は!」と偉そうに責めたところで、違う価値観を持った両者の溝は深まるばかりであり、どちらが正しい生き方かなんて正解は無いだろう。

しかし、意欲ある若者にとって、今はチャンスの時代なのである!

私の時代は100人いれば100人とも出世意欲を胸の内で燃やしていた。

目の前に階段が在れば、それを上らないという選択肢は無く、少しでも早く!少しでも上に!と皆が思っていた。

けれども今は、そうではない。出世意欲を持たない者が増えれば増えるだけ、競争相手は減り、自身のチャンスが増えるのである。

雨後の筍のように次々競争相手が現れた昔とは違って、今の時代は意欲ある若者にとっては、たちまち頭角を現すことの出来るチャンスの時代なのである。

またこのような世の中では、意欲ある若者は貴重な人材なので、企業側も重宝してくれるはずであろう。

 

 

現在、とくに中小企業にとっては雇用のミスマッチもあって、求人難である。

当社は今のところ何とかギリギリの線で人員確保できているが、製造業や営業、介護系を希望する若者は少ないという今の状況が今後も続けば、近い将来、当社のように都心部から離れた場所にある中小企業は、労働人口減少とともに益々「人材不足」に脅かされることになるだろう。

出世を目指そうという人材には、その努力が、報酬や昇格となって適切に反映され将来の展望が描ける企業作りをする一方で、企業側も意識を変えて、

上記の意識調査のように、ゆとりを持って働きたいという人には、一人一人希望の働き方に沿えるような枠を用意して労働力を確保するという両面の対応で人材不足を解消していかなければならない時代なのかもしれない。