走りながら考える

平成27年2月12日にサービス付き高齢者専用賃貸住宅「フラワーホーム」の地鎮祭が行われ、同20日に建設着工と相成りました。

  地鎮祭の様子>>

 

また3月1日より「サ高住建設準備室」を改め、新規に「シニア事業部」と致しましたことをご報告申し上げます。

ご支援・ご厚情並びにご指導を賜りました各位また皆様方に、「お蔭さまと感謝の気持ち」を持ちまして心より御礼申し上げる次第であります。

また来る本年11月の開設に向けて役員・社員一同、益々の精進を重ねて邁進して行く覚悟であります。今後も引き続きのご支援・ご厚情・ご指導を改めてお願い申し上げる次第であります。


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さて、今回の「シニア事業部」であるが、このような新規事業部の立ち上げは約10年ぶりである。

今までにM&Aや既存事業部の再編、また新規事業部の立ち上げを随時行ってきたが、その都度、社員に絶えず言う言葉がある。

「走りながら考える」

誤解して欲しくないのだが、「走りながら考える」とは、いきなりスタートを切って、行き当たりばったりで突き進んで行くという意味ではない。

計画が頓挫したり失敗したりするリスクを極力小さくするために、まず徹底した事前リサーチを重ね、綿密な計画を立てる。そうした上で初めてスタートを切る。

そしてその計画から外れだした部分は、その都度たえず見直し、軌道修正をしながら臨機応変に対応していくということが「走りながら考える」の意味である。

私の経験上、スタート前に机の上でいくら完璧な計画を立てても、それをそのまま遂行することは、ほぼ不可能である。なぜなら計画は、ある一定の条件で算出された仮説にしかすぎないからである。

「計画時に考えていた条件」と「現実」に差異があるなんてことは日常的にある。

事業は生き物だから当然である。

だから計画を常に見直し軌道修正しながら臨機応変に対応して行くことが、事業運営にとって重要なのであると私は考えている。


あと一つ、私が新規事業の立ち上げの度に心している事がある。

それは「事業スタート時に無欠を目指そうするな」ということである。

旅支度と同じで、アレやコレやと揃えたくなる。「あれがあった方が便利だろう、もしもの時の為にこれも持って行こう、そうだ予備もあれば安心だ。一級品を買えば間違いない」と、装備が備わるほど心強くなる。また旅への思い入れが強ければ強いほど、色々こだわりたくなる。自分が納得するまで装備を車に詰め込み、「さぁこれで万全!安心だ!」とスタートを切る。

しかしこれでは初期投資は増加し、そこには不要な労力も発生するのである。

アレコレ揃えたものの、結局旅先で使わず無駄になったなんてこともよくある。

それとは逆で、その土地に行ってみて初めて分かることも多くあり、出発前には想像もしていなかった物が必要になったりする。

旅支度で資金を使い過ぎては、旅本番の資金が減ってしまう。旅先で計画外の出来事に襲われたのに、それに対応出来る資金はあと少ししかない!などの事態になってはいけない。

大企業であればトラクターにたっぷりの装備と資金を積み込み、万全の体制でスタートを切れるだろうが、資金に限りのある中小企業は身軽な状態でスタートを切った方が良い。

そして旅をしながら必要に応じて臨機応変に装備を整えて行けば良い。

その方が机で考えるより、はるかに正しい見極めが出来る。

会社経営には倒産か廃業という「終り」があっても、「ゴール」「完了」「完成」というような決まった形があるものでは無い。また運営は「いつまでも続けなければならない旅」のようなものである。

だから常に余力は温存しておかなければならないのである。


しかし旅行保険は必ず掛けておく。旅行保険は旅の前にしか掛けられない。トラブルが起こった後から保険を掛けることは出来ない。

事業を始めるタイミングでしか出来ないリスクヘッジというものもある。そこには惜しまず資金を投入するようにしている。

例えば当社の新規事業であるサ高住の場合、建築基準法で定められている基準以上の高層マンション並の耐火性能を有する構造で建設する。

そうする第一の理由は、もちろん利用者さまの安全を守り、安心して暮らして頂けるようにしたいからである。

第二の理由は、建築基準法は大きな災害や事故があるたびに改正されるからである。

耐火性能を上げればその分建築コストは高くなるが、法が改正されてから改修するとなると、遙かに高額な費用を要してしまう。後悔してもすでに時遅しである。

また当サ高住はストレッチャーに対応できる大型エレベーターを設置する。

その分建築費は大きくなるが、緊急時に即座に対応出来るようにしておきたい。

上記のように、後から簡単には備える事が出来ないものは、先の先まで考えて慎重に取捨選択しなければならないと用心している。

スタートしてしまってからでは、もう遅い。