先般、会合(と言っても実は飲み会)があり、その日は、出発前に急な来客があった関係で時間ぎりぎりに最寄りの駅に着いた。
駅から目的の場所までは徒歩圏内であったが、歩きでは開始時間に間に合わない。
そこで「タクシー」と思ったのだが、見ればロータリーには客待ちをするタクシーが30台以上も並んでいる。
先頭のタクシーが客を乗せるまでには、1時間以上の時間を要したであろう事が、容易に想像がつく。
運転手さんの待機時間を考えると、1メーターの距離で利用するのは悪いなあ・・・と一瞬ためらったが、先輩諸氏を待たす訳にもいかず、やはりタクシーへ乗り込んだ。
そして肩身の狭い思いをしながら「近くの○○まで」と行先を告げた。
するとどうだろう。
舌打ちでも返って来たら、こちらも応戦していたが、運転手さんは笑顔で
「有難うございます」と言うのだ。
思いがけず快い反応が返って来たことに驚きながら
「長い待機時間なのに1メーターですみません。」と、とっさに返した。
すると運転手さんは、こうである。
「いえ!なぜか不思議と、1メーターのお客さんを乗せると、次は長距離のお客さんに当たるんですよ!だから私にとったら1メーターのお客さんは縁起の良いお客さんです」
営業トークであったかもしれないが、私はその言葉を聞いて運転手さんの心の在り方に感服した。
と同時にその言葉のお陰で、心苦しかったマイナスの気持ちが一転し、「そんな風に言ってくれて、ありがとう」と言いたくなるような温かい気持ちになった。
この運転手さんとの出会いで、天理高校時代に谷口先生という物理の先生から受けた素晴らしい授業のことを思い出した。
いきなりだが皆さんはテレビのチャンネルが変わる仕組みを御存じだろうか?
たとえばNHKの1chに例えて簡単に説明すると、まずテレビ側から1chの周波数の電波を、アンテナを通して空中に送信する。そうすると空中にある色々な種類の数千万と言われる電波の中から同じ周波数の電波は響き合いながら、引き寄せ合うのだ。その集まった同じ周波数の電波を今度はまたテレビ側が受信して1chを見る事が出来るのである。
物理的な言葉で言うと周波数の共鳴現象というそうである。
この授業の最後のまとめで先生は、人間にたとえて下記のような話をしてくださった。
谷口先生のお話
優しい気持ちを持っていると、 体から「優しい電波」が出ているので「同じ気持ちの電波」が引き寄せられて集まってきます。
この共鳴現象は「物理」でも「人の感情」でも同じです。
普段から「優しい電波」を出していると、自然に優しい気持ちの人がまわりに集まって来てくれます。そのことにより次から次へと「優しい電波」が人から人へと繋がり、そして、だんだん全体が幸せな状態になっていくのです。
これが「幸せの共鳴現象」です。
(100%の再現は出来ないが、大まかには、こんな感じです。謝<(_ _)>)
自分の些細な行動の積み重ねが、自分を取り巻く世界を作っている。
世界は自分の鏡であると再認識させられた次第である。