当社の会長であり、また私の親父である立花竹雄は、物心がついた頃から釣竿を握り、齢80歳を目前にした今日になっても、趣味である魚釣りへの情熱は冷めやらず、毎週のように自分で船を操縦し海に出るのである。
ところで先般、「魚釣りに出かけた父が帰って来ない」と私の携帯に妹から連絡が入った。通常なら御昼過ぎには帰宅するのだが、午後3時を回っても帰って来なかった。
会社から海まではそう遠くないので車を飛ばして見行くと、魚釣りの後に地元のなじみの漁師の方とテトラポットで歓談している親父の姿があった。
車から降りて一息つき、妹に「心配ない」と報告の電話を入れた後、ふと空を見上げると、驚くほどの数の鳥たちが大きな群れとなって、同じ方向を目指して飛んで行くのを目にした。
悠然と飛ぶ鳥の群れを眺めながら、その日の朝に見た「政治とカネの問題、重要法案の審議遅れ」の新聞記事を思い出していた。
鳥でさえ一つにまとまって、先導役となるリーダーのもと規則正しく飛んでいくというのに、今の国会はなんて愚かしいのだろうか?バラバラではないか。
国会とは国民の代表である議員が、国民の福利のために法律や予算など重要な事柄を決める場所であって、野党が与党の挙げ足を取ってまわって、閣僚を辞任に追い込む場所では無いのである。
そんなことは国会の会期中ではなく閉会時にやってほしいと、大多数の国民は辟易していることであろう。
足の引っ張り合いに終始するあまり、重要法案の審議に遅れが出ていると文末には書いてあった。
今であれば、消費税問題を中心にした景気対策や円安・株安・災害関連法案などいくらでもやらなければならない法案審議が沢山あるはずである。
野党は、先の総選挙の惨敗以降、従来の「反対の為の反対」体質を脱し、一つ一つの法案に対して与党と歩み寄りながら国民の福利になることならば「是々非々」を貫いていくと標榜していたはずである。その時の決意は、どこに行ってしまったのだろうか!?
野党は与党の失策やアラを探し、ダメな与党というイメージをアピールし、自分たちの支持率につなげたいのではないかと愚推せずにはいられない。
我々国民も馬鹿ではない!
このように国民不在の国会闘争に明け暮れていれば、野党の支持率が伸びるどころか、益々、投票率も下がり無党派層が増えていくだけではないだろうか。
そして国民は(特に若者は)政治に関心を失い、日本という国に対して諦念を抱くようになるのではないか?そうなれば、いずれ国が滅んでしまうのではないか?
このように、国民は日本の将来を憂いながら、今の国会の動静を見ていると思うのだ。
そこで、審議が停滞するならいっそ2~3日完全に国会を止めてしまい、議員全員で海に出かけ、悠然と飛ぶ鳥たちの群れを眺めてみては?!と思わず皮肉を言いそうになった次第である。