私は1度不安を感じると、もう何をしていても頭からずっと不安が離れず、不安で不安でたまらなくなる性質である。
不安が現実にならないように対策をして、初めてようやくホッと一息つける。
しかしそれでもまた別の不安が芽を出す。また対策をし、不安の芽を摘み取る。万全を期したと思っても、また新たな不安が目を出す・・・
私の会社経営の歴史は、不安との戦いと言っても過言ではない。
私は常々、経営者の頭の上には「怠慢」「誤算」「事故」という名前の3本の剣が、細い一本の糸で釣りさげられていると思っている。
そしてどれか1つでも重量が増せば細い糸は切れ、経営者にナイフが突き刺さる危険をはらんでいると思う。
「怠慢」は誰もが持っているだろうから、いかにそれを増長させないが大切であり、「誤算」と「事故」は、どんなに優れた人にでも発生する可能性があるわけだから、いかに被害を最小限に食い止められるか?が、その後の回復や発展へのカギとなる。
そこで、この3つに対する私なりのリスクマネージメントを書いてみる。
*まず怠慢である。
「怠け心」に打ち勝つための私の方法は、先日書いたガンジーの言葉を思い出すこと、そして柔道部時代の難行苦行の日々を思い出すことである。くたびれて怠けたい気持ちが湧いて来ても、「あの時よりマシ」と考えて乗り切るのである。
今になって思えば、柔道の修行では「人に勝つ」という事よりも、「怠けたい自分や諦めそうになる自分に勝つ事」を教えてもらった。
*次に誤算である。
誤算とは、誰の人生においても付き物である。おそらく誤算の無い人生なんて皆無であろう。
これは誤算した時のその後の対応が成否の分かれ目となる。
適応力を持って誤算に対応するには、初めから「誤算パターン」をいくつも想定し、その場合の対策も考えておくことである。
もちろん「最悪パターン」も想定する。そして「最悪パターン」が現実になった場合に、対応出来る余力もなく倒産の危機に陥るような案件ならば、初めから手を出さない方が良い。
また誤算が発生した場合は、「世間体」や「意地」に捕らわれず、中止する勇気も必要である。
*最後は事故である。
社用車での交通事故や労働災害や、果てはデーター消失などがあるが、これについては、運よく一度も起こらないかもしれないし、明日起こるかもしれない、神のみぞ知る分野である。
しかし経営者は、「これらは必ずいつか起こること」と前提にするべきである。
私は不安症であるから沢山の保険に入っている。実際それで大変助かったことがあるし、「備えあれば憂いなし」なのである。
私のように最悪を想定したリスクマネージメントは、時として単なる臆病と勘違されやすいが、私にとっては「転ばぬ先の杖」そのものである。
先月の話であるが、パソコンが壊れてデーターが飛んでしまった。
しかしその一日前に定期的なバックアップをしていたので、悲劇的なことが起こらずに済んだ。
私は、バックアップが消えてしまう事も考えて、記憶媒体の種類を変えてバックアップのバックアップもしている。
笑われるかもしれないが、杖は多い方が安心だ。