昨今、色々な業界において「低価格商品」の拡充が目立つ。
衣料品ではファストファッションが流行しているし、家具は昔に比べるとずっと安い金額で手に入るし、家電製品もどんどん安くなっている。
当社の主要製品は毛布だが、それだって海外から低価格商品が大量に流入して来ている。
「価格競争が大変でしょう?」と聞かれることもあるが、実のところちっとも大変ではない。なぜなら当社は価格競争には参加しないからである。
低価格商品というのは、低価格でも利益が出るように、価格に応じた費用で物作りをしている。
昔、「美しい方はより美しく、そうでない方はそれなりに写ります」というカメラのCMがあったが、低価格の商品は、材料にしろ技術面にしろ、それなりのレベルの商品なのである。
「安いから」という理由で商品を選ぶ消費者はそれ以上に安い価格が出た場合、すぐさまそちらへと移行する。その消費者を取り戻す為には、更なる値下げが必要である。
そうなると商品の質は言わずもがなである。
だから当社では低価格を売りにした物づくりはしない。値下げ競争にも参加しない。
しかし競争になるのは、他社の商品が当社と同品質で、それが同じ価格帯だった時である。
その場合、品質を落とさずに値下げをするという方法もあるが、製造業者にとって値下げというのは後ろ向きの手段である。
また一度、値下げしてしまうと元の価格に戻すのは至難の技である。もし戻せたとしても、待っているのは「客離れ」のみである。
値下げをせず、シェアを増やすには・・・
1、コマーシャルの重要性
気合や根性で営業をして売れたのは昔の話である。
今は何を置いてもまずメディア戦略である。
少しでも多くの人の目に触れるようにコマーシャルの徹底した拡散が必要である。
それはHP等に始まり、パンフレットや販売に必要なビジネスアイテムの充実、広告宣伝活動の拡大が必要。
2、宣伝活動の継続性
継続は力なりと言われるが、1度や2度のコマーシャルではすぐに忘れられてしまう。
継続することが重要なのである。
余談ではあるが、経営者が営業方針や考えを現場に落とし込む際にも、一度や二度伝えただけで浸透しないことに嘆くことなく、何度も何度も語り掛けなければならない。人間の脳は時間経過した情報は忘却する構造なのだ!と認識し、諦めず繰り返えさなければならない。
3、販売流通経路への気配り
製造業を支えてくださる販売網への細かい気配りを常に心掛け、どんな些細なことでも意見をよく聞きながら日々、修正・改善を行い、少しでも販売店が売り易い環境を提供していくことに最大限の配慮を行うこと。
4、ブランド性の確立
ブランド性とは言わば安心と信頼の浸透である。その為には気の遠くなるほどの時間が必要であるが、1~3を真摯に受け止めて継続することで、結果は歴史が証明してくれることと思う。
しかし今この瞬間にも世界は動いている。
1~4だけを忠実に続けていけば会社は存続出来るという時代では、もうない。
京都の職人が何ヶ月もかけて作った工芸品を、3Dプリンターがいとも簡単に短時間で再現してしまう時代なのだ。
1年先には、日本の物づくりがガラッと変化していることだってありえる時代なのだ。
時代の変化に取り残されないためにも経営者に必要なのは「たえず見直すこと・そして次の一手を打ち続けること」であろう!