社長の役割とは何だろうか?
大企業の社長の役割と、中小企業の社長の役割とは、同じ社長という肩書きであっても大きく違うだろう。
同じ中小企業の社長であっても、成長期の会社と成熟期の会社とでは、社長の役割は違うだろう。
「社長さん自らそんな事までするの!?」
私が周りから、よく言われる言葉である。
それはトイレ掃除に始まり一般業務、営業、機械操作、社長業に渡るまで私は会社のすべての内容を把握している。だから、いついかなる時に欠員があっても即戦力として全ての業務に携わることが出来る。
また、常に先頭に立って走るように心掛けている。
このような姿勢を学んだのは、私の師匠である左右田鑑穂社長からである。
今から35年ほど前、東建コーポレーション(株)が東名商事(株)という中小企業の時代に、私はすぐそばで師事させて頂いた。
その際に、どんな仕事にも自ら先頭に立ち、誰よりも働く左右田社長の姿を日々目の当たりにし、成長期の中小企業の社長の姿というものを学んだ。
だから私の信念は、「社長自ら先頭に立って仕事をさせて頂く!」である。
以前、とある来客が当社を訪れた際に「ここの社長はいつ来てもいない!」と恨み言を残して帰ったことがあった。私はそれを聞いてかなり腹が立って、来客に電話を入れた。
「中小企業というものは、社長自ら先頭に立ちトップセールスマンとして営業に歩くものであって、会社に居ないことの方が当たり前であり、いつも社長が会社の椅子に座っているのは、今の厳しい時代にこの先、倒産する会社だ!」と。
しかし年月が流れ、会社の規模や、私自身の年齢や体力も変化して来た。
今はまだ自分が先頭に立ち機関車のように会社を引っ張っているが、私もいずれ歳には勝てなくなって、先頭に立てなくなる時が来るだろう。
師匠からも、「機関車型の組織から、新幹線型の組織へと移行していけ」と助言を頂いている。
新幹線型というのは、複数の車両に動力を備えた「動力分散方式」のことだ。
動力を備えた車両を増やすには、人材育成そして組織作りに一層取り組んで行かなければならない。
それが今の私の重要な仕事の一つだろう。
会社の成長によって社長の役割は変わって行く。
会社の成熟が進めば、社員一人一人の抱える責任が重くなるだろうし、判断を任される機会が増えて悩んだりするだろう。
けれども、そのようにして社員も会社も成長して行くのだと思う。
先にも書いたように私の信念は、「社長自ら先頭に立って仕事をさせて頂く!」だ。
いつまでもそうしていたいと思う願望と、いつもでもこのままじゃいれない現実との狭間に、今私は居る。